【箱根温泉の泉質分帯】

 療養泉の分類を用いると、箱根には一七種の泉質があることはすでに述べた。温泉の起源や湧出機構を調べるには分類が細かすぎる。また、溶存成分が一グラム/キログラム以下の温泉は含まれている物質に関係なく単純温泉としてくくられてしまう。そこで、泉質分類の基準を地質学的解析に向くように少し変えることにする。温泉に含まれている主要陰イオンの量比に注目して、酸性硫酸塩泉、重炭酸塩硫酸塩泉、塩化物泉及び塩化物重炭酸塩硫酸塩泉(混合型)の四種に区分した(大木、平野、一九七〇)。区分の基準は表9にある。こうすれば単純温泉の成分的特徴も表現できて都合が良い。

 図14は箱根温泉の泉質の住みわけを現した図、つまり泉質分帯図である。各泉質に応じて第一帯から第四帯と呼ぶことにする。
 この分帯図で重要なことは第三帯の塩化物泉と第四帯の混合型温泉はカルデラの東側にだけ分布し、泉質分布に東西の著しい非対称性が見られることである。

表9 箱根温泉の泉質分帯基準

箱根温泉の泉質分帯図(Oki and Hirano 1970) 

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※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

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