【第一帯 酸性硫酸塩泉】

 中央火口丘神山の北西斜面にある大涌谷、北東斜面の早雲地獄及び駒ケ岳の東斜面硫黄山と湯の花沢などの硫気地帯の浅層地下水に当たるのがこの酸性泉である。pH2~3の酸性を呈し、陰イオンの主成分は硫酸イオンで、塩素イオンは少なく数ppm程度しか含まれない。温泉は二〇~九五度Cの広い範囲にわたる。古くから有名な自然湧出している姥子温泉(四〇~四六度C)が酸性硫酸塩泉の代表的な温泉である。この温泉は浅層地下水であるため降雨による影響を強くうけ、雨量の多くなる四月ごろより湧出を始め、雨量の少なくなる十一月ごろ湧出が止まる。硫気地帯から放出される硫化水素ガスの酸化によって硫酸が生成され、温泉の主成分となる。

 芦之湯の自然湧泉は中性に近い含硫化水素硫酸塩泉である。酸性硫酸塩泉が地中を流れるうちに母岩と反応して中性に近づいたものであるため、第一帯の温泉に組み入れておく。深さ数十メートルのボーリング孔から噴出する火山性蒸気と地表水を混合して造成されている人口温泉(造成泉)もこのグループに入れる。

カテゴリー: 4.箱根温泉の泉質分帯   パーマリンク

※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

コメントは受け付けていません。