【第三帯 塩化物泉】

 神山東中腹の硫気地帯である早雲地獄の地下三〇〇~四〇〇メートルから東の早川渓谷に向かう三本の高温泉脈が第三帯として区別したナトリウム―塩化物泉である。湧出口での温度は九〇度C以上を示し、蒸発残留物が四~四・五グラム/キログラム含まれ、その溶存物質の八五パーセントを食塩、一〇パーセントを珪酸がしめ、液性は中性でpH7~8.5である。小涌谷、強羅の蒸気井はこの第三帯に位置している。古くから知られている底倉蛇骨沢の湧泉群は第三帯の食塩泉が自然湧出している露頭である。第三帯の温泉はカルデラの東側のみに分布し、富士の見える西側には認められないことも重要である。

 神山の火道と上昇してくる高温高圧の火山性蒸気は一~二パーセントの食塩を気相として含み、それが中央火口丘基底部にあって西から東に流れる深層地下水(第二帯の熱水)に混入し高温の食塩泉が形成される。

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※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

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