【芦之湯温泉】

 駒ヶ岳の南東山麓に位置する古くからの温泉。箱根七湯の一つ。標高八五〇メートル。小田原より元箱根行きバスで四五分、芦之湯温泉下車。
 鎌倉時代の弘安三年(一二八〇)に、すでに信仰の湯治場として利用されていた記録が残っている。このあたりは、かつて沼沢地であったが寛文二年(一六六二)勝間田清左衛門が干拓して、この温泉場の基礎をつくったという。弁財天を祀る阿字ヶ池は湿原のなごり。
 硫化水素を二〇ppmほど含む中性の単純硫黄泉(硫化水素型)が自然湧出している。冬期は湧出が止まる。仙液湯は、この温泉を用いて復元された往時の外湯である。温度四〇℃。昭和三十四年、深さ七〇メートルの温泉試掘に成功。温度六五℃、泉質、含硫黄―カルシウム―硫酸塩泉(硫化水素型)。
 宝蔵ヶ岳山裾に江戸時代文人サロンの東光庵跡がある。芭蕉の句碑や賀茂真淵の歌碑などが苔むして立っている。精進池と国指定史跡の元箱根石仏群には徒歩で一〇分。二五菩薩、六道地蔵、曽我兄弟之墓などがある。双子山のふもとに箱根町立の植物園開園計画がある。旅館三軒。

カテゴリー: 1.十九湯めぐり   パーマリンク

※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

コメントは受け付けていません。