【カルデラ鍋の不思議】

 箱根の河川、道路、温泉の分布はカルデラ鍋の形に逆えない。道路を例にとると、カルデラ内の道路は環状である。環状道路の難しさは方向感覚が麻ひして、北に向かって進んでいたら、いつのまにかカルデラの南に来ていたと言うようなことになる。同様な体験は、東京を山手線に乗って一周すれば、誰でも西も東もわからなくなるのと似ている。冬の箱根は晴天が多く、その反対に、夏の箱根はいつも雲の中である。雲のなかにはいると、ひどい時には数メートル先も見えなくなる。おまけに環状道路であるから、方向感覚は一層メチャメチャとなる。正確な地図も、磁石も持たない昔の人々は道を間違えると大変なことになった。無事に山を下りるまでおおいに苦労したことであろう。
 今でも、天気の悪い日に、車で走っていたら、いつの間にか元の所にもどっていた。そして「箱根には人を迷わす大狐がいるに違いない」とボヤク話は何度もきいている。

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※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

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