【大文字焼き】

 毎年八月十六日夜、箱根外輪山の明星ヶ岳(標高九三二メートル)山頂から中腹にかけて、赤い炎の「大」の字が浮かびあがる。大の字画は、

 「一」の画が長さ、一〇八メートル、幅七・二メートル
 「ノ」の画が長さ、一六二メートル、幅七・二メートル
 「乀」の画(三画め)が長さ、 八一メートル、幅七・二メートル

の雄大なものである。

 現在では「強羅夏祭り大文字焼き」として知られるこの祭りも、大正八年(一九一九)湯本―強羅間に箱根登山鉄道が運転を開始し、強羅開発が進められるなかで、夏期滞在の避暑客慰安のため同十年(一九二一)より始められたのが起源であるという。
 そして当初より観光的色彩の強かったこの行事が、裏盆の八月十六日に定着するようになったのは、二年後の関東大震災で箱根地方に一〇〇名に近い死者を出したため、これらの霊を慰める「送り火」の意味もこめて実施されるようになってからだという。

 箱根の場合、観光地としての性格上、伝統的な宗教行事が観光行事と結びつき、定着していく場合も多い。芦ノ湖畔で毎年行われる「湖水祭」「鳥居焼き」はその代表的なものである。

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※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

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