【多様なニーズ】

 久保寺●世界にこういう変わったホテルがあるということを知っていただきたいと思うんで紹介します。
 実はこの一月にハワイへ行き、マウイ島へ泊まったんです。安藤君も一緒でした。マウイ島のカパルアベイという所に、三年前、開発されたハワイで最も新しい最高級リゾート地があります。そこのカパルアベイホテルなんです。ちょうど小高い丘陵で海を見おろす美しいところです。
 そこで昼食を食べたんですが、バイキングで何と一人五二ドルでした。勘定を見ましてびっくりしたんですよ。まず入りましたらカパルアベイと書いてあるだけで、フロントがないわけです。吹き抜けのロビーで、ベルガールに「レストランで食事できないか」と言ったら、階段をおりてくれというのです。表示が何にもない。トイレの表示もない。ところが、角々にみんな女の子が立っていて、そこで必ずコミュニケーションを持つようになっています。
 なぜ五二ドルで驚いたかというと、何んにも値段が書いていないわけです。少々高いだろうなと思ったけど、聞くのが恥ずかしいから、勝手に皿を取って食べて、勘定を見てびっくりした、ということなんです。
 宿泊も高いです。ちなみにスタンダードツインが何と二五〇ドル。通常一二〇ドルぐらいですから、約二倍です。そこに滞在するのは、一月、二月が寒いアメリカ東部の人とカナダ人で、だいたい一か月くらい滞在するそうです。夫婦で一か月も滞在しますと、食事を入れて二五〇万から三〇〇万円かかる。チェックアウトするときにカードが渡されて、滞在中はいっさい現金の出し入れはしないということです。ものすごくエコノミーでやるか、高級志向の中で触れ合いを大切にするかということが、これからのホテルの行き方になるのではないかと思い、体験を通してお話ししました。

 松坂●国際観光地としてのあり方というのも一つ考える必要があると思いますね。

 榎本(編纂委員)●明治二十九年に、同二十二年の県令に基づいて組合ができてからのことをずっと見てきますと、協同組合の前身がやってきたのは過当競争の防止、親睦、宣伝、温泉の保護、道路交通の問題等を大きな柱としてやってきています。今後、協同組合なり町の観光課でやってほしいのは、やはり情報社会ですから、業界のためになる情報、国民の観光についての多様なニーズについての情報などをどんどん提供してもらいたい。われわれの若い頃には、伊豆箱根の若い者が集まって旅館研究会をつくって、おまえのところはどうやってんだと、お互いに情報交換をしました。今はそうじゃない。箱根の中でも。組合の青年部がありますが、そこまでおやりになっていますか。勉強し合うことは必要ですね。

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※本文書は昭和61年発行の『箱根温泉史』記載事項です。現在の事実とは異なる部分があります。

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