箱根が陸軍病院の療養所、又は分院として傷病将兵の療養のため活用されたのは、第二次大戦のみではなかった。日露戦役の傷病兵を治療するため、明治三十七年(一九〇四)八月十八日に芦ノ湖畔に収容された軍人は、 ...
ここでは、傷病に効果のある温泉療法が研究されていた。入浴療法は古来医学界から認められていたが、箱根分院では「温泉泥」の患部塗布が治療効果をあげていた。このため大涌谷から温泉泥を木箱に詰めて箱根登山電 ...
八月十五日に終戦の詔勅が発せられ戦争は終わった。当然ながら中央軍政の指揮命令系に乱れが生じ、特に総指揮官が軍医官であった箱根分院では統制が失われて、元気な傷病兵はいち早く無断で帰郷し、各宿舎には重病 ...