箱根カルデラの北~北西部、標高七〇〇メートル前後の高原に大涌谷からの引湯で開けた温泉。小田原から湖尻・桃源台行きバス五〇分仙石原下車。東名高速道路御殿場インターチェンジから乙女峠を越えて箱根に入る車も多い。新宿より小田急高速バスが仙石原を経て桃源台に乗り入れている。所要時間二時間。
仙石原で温泉が利用され始めたのは元文元年(一七三六)ごろで、大涌谷から引湯されたという。
かつて仙石原温泉とは上湯(冠峰楼)、下湯(万岳楼)、元湯(仙郷楼)、俵石(俵石閣)の四つの旅館を総称した。これらは大涌谷からの引湯を用いていた。仙石原温泉が四つの点から面的な広がりを持ちだすのは昭和五年以降である。この年、箱根温泉供給株式会社を設立、大涌谷の造成温泉が多方面に供給されだした。温泉荘、小塚山などでは温泉付別荘が分譲された。泉質、カルシウム―硫酸塩泉。
昭和四十~四十四年にかけて姥子の冠ヶ岳よりに掘られた温泉や蒸気泉でも温泉造成がなされ、今では仙石高原から仙石、金時神社付近の笹尾台まで給湯パイプが延びている。昭和四十一年、四十六年の二回仙石原で深さ一〇〇〇メートルの孔井の掘削が試みられたが、温泉は湧出しなかった。
仙石原は金時山の登山口。裏関所跡、松田コレクションポルシェ博物館、箱根湿生花園など見所も多い。箱根仙石原湿原植物群落は国指定の天然記念物。ゴルフ場は富士屋ホテル仙石ゴルフコース、大箱根カントリークラブ、箱根カントリー倶楽部がある。
年中行事、国選択指定無形民俗文化財の仙石原諏訪神社湯立獅子舞(三月二十七日)、すすき祭は八月下旬。旅館・ホテル二九軒。