毎年七月三十一日芦ノ湖畔箱根神社の門前町元箱根を中心に行われる湖水祭りは、創始の年代は明らかではないが、箱根神社に伝わる古くからの宗教行事を原形としている。
伝承によれば、昔、芦ノ湖には悪竜が住み、村人や旅人に危害を加えていた。悪竜のたたりを恐れた人々は、若い娘を人身御供に捧げていたが、箱根権現の開祖万巻上人の祈りによって、悪竜は前非を悔い、九頭竜神に変身した。以後村人は、人身御供の代わりに三斗三升三合三勺の赤飯を捧げ、竜神の心を慰めたというのである。
湖上祭は、この古式を継承し、箱根神社の神官が芦ノ湖に船を出し、竜神に赤飯と神酒を捧げる神事が祭りの中心になっている。