昭和三年一七三メートルの掘り抜き井戸が掘削され(湯本一号泉)、温泉が自噴した。昭和八年渦巻きポンプが設置されるまでを自噴掘削泉の時代とする。昭和二年新宿~小田原間の小田急線が開通し、同九年には丹那トンネルが開通するなどして、東京と箱根の交通の便が急激に良くなった。無闇に温泉の開発が行われてはたまらないというので、大正の末から昭和の初めにかけて温泉の戸籍である温泉台帳の整理が行われた。昭和二年の整理結果では八八源泉が古来からの温泉として登録された。図18は昭和四年から同五十四年までの温泉台帳登録状況を示す。
昭和四年に台帳登録数が多いのは、同年に公布された「神奈川県温泉地区取締規則」が翌年から施行されるため、急いで登録が行われたことによる。
【自噴掘削泉の時代】
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