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【いつまでも豊かで美しい箱根のために〈子孫への遺産〉】

 東海道の要地関所とともに天下の険として旅人の心に刻まれた箱根は、一面〝七湯の枝折〟にも紹介されているように湯治場として庶民の健康と憩いの場でもあった。この自然の持つ酷しさと恩恵を住民はよく知り、大切にしながら生活してきた。明治以後も旅館の経営者が指導的な立場で箱根の良さを掘り起こすとともに景観保護にも配慮してきた。
 戦後外来の観光業者や大資本の開発合戦により先祖伝来の豊かな自然が一挙に破壊の危機にさらされたが、幸い多くの住民の良識がそれを拒み、町・県・国の行政担当者も協力して一応の歯止めがかけられた。首都圏に近い箱根の自然の価値が再評価されている今日、この豊かな自然をこれ以上傷つけることなく観光産業の基本財産として子孫に伝えることが、今の箱根に住む人たちの務めである。
                                         (勝俣孝一)

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