【姥子温泉】

 神山の北西斜面、神山山崩堆積物が形成した扇状地の台地の上に位置している。標高八八五メートル。箱根で現在も湯治が出来る温泉が秀明館。ここは元来自然湧泉、冬期は涸れるが夏期は神山山崩堆積物の岩間から三〇〇〇ℓ/分以上湧出する。温度四五~五五℃。酸性のカルシウム―硫酸塩泉。小田原より大涌谷経由湖尻行きバス五五分姥子下車。
 源頼光の四天王の一人として良く知られる坂田金時―足柄山の金太郎が子供の頃、枯れ枝で眼をさして見えなくなった時、姥母が箱根権現のお告げでこの姥子温泉をさがし出した。姥母が金太郎の眼をこの温泉で洗うと全快したという伝説は良く知られている。姥子の地名もこの伝説によっている。
 昭和四十~四十一年に姥子の東方、冠ヶ岳よりの斜面でボーリングによる温泉が開発された。現在は蒸気井二本、温泉井六本に増えている。最近、夏期にも秀明館の自然湧泉の湧出が止まることもある。
 秀明館裏手に苔むした石の箱根権現社祠と薬師堂がある。ここの温泉で眼病が全快した人々のお礼の幕などが薬師堂に奉納されている。江戸時代の本草学者野呂元丈(のろげんじょう)の望湖石は秀明館庭内の林の中にある。旅館一軒。

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