今から約八万年前になると、激しい爆発的な噴火から大量の溶岩を流出する噴火に変わった。溶岩の化学組成もより珪酸分に富む安山岩~デーサイトに変化した。珪酸分が増すと溶岩の粘性が大きくなり、流動しにくくなる。一方、溶岩の温度は高ければ流動性になる。この時の溶岩の温度は高く流動性が大きかったので、噴出した溶岩はカルデラ内を平頂な楯状火山体となって満たした。カルデラを満たした溶岩はカルデラ東壁を深く刻んでいた古須雲川の谷にあふれだし、その先端は小田原市風祭に達した。
楯状火山体とカルデラ壁の接する南・北両境界線に沿って、カルデラ内に降る雨水が流出し、深い谷を刻みはじめた。早川と須雲川の誕生である。
町田は二五万年前から始まった激しい爆発的噴火はついにマグマの水蒸気圧の低下により八万年前には総量一四立方キロメートルの流動性溶岩の噴出でしめくくられたとしている。