箱根、伊豆では古くから「富士の見えるところに温泉はない」といわれ、温泉開発の指針とされていた。深いボーリングによって孔井から温泉採取がなされるようになって例外もあるが、この諺は温泉湧出機構を見事に表 ...
江戸時代初期から箱根七湯と数えられていた温泉場の中で湯本・塔之沢・堂ヶ島・宮之下・底倉・木賀は早川渓谷の谷底に発見された自然湧泉である。駒ケ岳東南麓にある芦之湯は標高八七五メートルの高地に位置するが ...
箱根温泉には現在一九の温泉場がある。この温泉の熱源は火山活動によるものと考えられるが、それをはっきりと証明することは容易ではない。神奈川県温泉研究所が発足したとき、まずこの課題を解決したいと思った。 ...
昭和三十五年以来中央火口丘の標高八〇〇メートル以上の地点で五〇〇メートル級のボーリングが盛んに行われるようになった。標高の高い地点のボーリングでは、掘削深度が増すにつれて孔内水位がドンドン低下した。 ...
温泉一キログラム中に溶けている化学成分が一グラムを越すと、たいていの人はその味を感ずることができる。今から一七〇年程前の文化年間に書かれた「箱根七湯の枝折」には温泉の泉質を口にふくんだときの味として ...
多数の人々が安心して温泉を浴用や飲用に用いられるように、温泉法では温泉の化学分析を行い、基準に合った利用方法を求めている。 大正十年、療養泉の分類が日本薬学会協定法として制定された。この分類方式を ...
温泉法は温泉の飲用、浴用を認め、国民の健康、福祉のために役立てることを目的としている。人体にとって重要なミネラルを多量に含む温泉を飲用することについて、基本的には反対する理由はなにもない。 しかし、 ...
療養泉分類の基準によると、箱根には一七種の泉質が認められている。表8に各温泉場ごとの泉質名を掲載した(箱根温泉誌 一九八一)。このように多様な泉質があることが箱根温泉の自慢の一つになっている。 ...
図13は箱根火山の源泉分布図である。昭和五十九年の源泉数は三八四、その内一四が蒸気泉、五四が休止源泉である。ボーリング技術の進歩により河床からはなれたかなり標高の高い地点にも源泉の掘削が行われている ...